substraction(引き算)

週末にICCに行った際、ギャラリーショップで買った『InterCommunication』65号。
こっちにも少しさわりを書いたのですが、この号で休刊は結構残念。


今日はひとりでランチを食べながら、
佐藤雅彦氏とアーティストのアレクサンダー・ゲルマン氏の対談を読んでいました。


気になった箇所をヌキガキ。
コミュニケーションにとって重要なことは、余分な情報をそぎ落とす(引き算する)、
ということと、そぎ落とせるギリギリのラインについて。


ゲルマン (コップをテーブルのヘリに置く)例えばこのコップは、まだテーブルの上にあります。これをちょっと押すと、床に落ちてしまいます。そのときコップは認識の外に行ってしまいます。だから、まだ認識できるギリギリの状態を見つけようとします。ひとつこれを無くしたら、誰もが違和感をおぼえてしまう。つまり、ナッシングとサムシングのバランスです。
佐藤 面白いですね。今日一番目に聞きたかったのは、何がコミュニケーションを成立させているか、ということでしたが、本質的に見えるものだけを残す、他をそぎ落とすという形だけの引き算という方法が単に浮かび上がってくるのではなく、形態だけでなく動き、あるいは余分なところにも本質があるということが明確になってきました。
ゲルマン 情報と情報の不在、この両者のバランスが私にとってのコミュニケーションです。コップが下に落ちたら、情報はなくなります。コップが落ちるポイントがコミュニケーションのモーメントです。
佐藤 落ちる/落ちないの境界線にあるとき、情報が訴えかけるわけですね。
ゲルマン そのポイントに一番位置エネルギー(potential energy)がある。それは物理的なものだけでなく、視覚的なものでも言えると思います。


対談「コミュニケーションが成立するのは、コップが落ちるスレスレのバランス」, InterCommunication No.65, p.10.
(発言中の太字部分は引用者による強調)


Inter Communication (インターコミュニケーション) 2008年 07月号 [雑誌]

Inter Communication (インターコミュニケーション) 2008年 07月号 [雑誌]