ふたたびブルーノ・ムナーリ

先週末に板橋まで観に行った「ブルーノ・ムナーリ展」で、この創作家に興味を持ち、
調べてみると汐留で同様に彼の作品展が開かれているというので行ってみました。


汐留イタリア街で開かれているもうひとつのムナーリ展、
ブルーノ・ムナーリ しごとに関係ある人 出入りおことわり」展は、
展示室一室のみの展示でしたが、よくまとまっていました。

板橋区立美術館での展示は、ある程度編年式に作品が展示されていましたが、
汐留では、彼が遺した作品群から抽出した10ばかりのテーマに沿った展示がされ、
ふたつの展示は切り口が少し違っていて、いずれも興味深かったです。


入り口のパネルにもあったのですが、本展のタイトルにもなっている
「しごとに関係ある人 出入りおことわり」は彼の言葉によるものらしいのですが、
彼の姿勢をよくあらわしている言葉であるらしく、


文字の読める読めないにかかわらず、また、芸術についての知識の如何を問わず、すべての人を受け入れる姿勢のことである。
そこにははっきりとした教育的な意図と、日常を詩情あふれるものにしたいという思いが込められている
とのこと。


そして、「しごとに関係ない人」というのは「子ども」のこと。
教育的な意図を持ち、そしてさまざまな知育玩具を生み出すムナーリの姿勢を、
確かにこの展示のタイトルは表しています。


さて、先日も書いたしかけ絵本や、触れて感じる本について、
興味深いことが書かれていたので、ヌキガキをしておきます。


しかしこの本(註:「本に出会う前の本」)の対象ははっきりしている。それは、まだ字の読めない子どもたちである。彼らは字が読めないので「言葉」を探さない。そして、ついに「本というオブジェ」が理解できるであろう。


(展示パネルより)


インタビュアー 「でも本は何の役に立つんですか?」
ムナーリ 「知っていることや楽しいこと、とにかく世界についての知識を広めるのに役立ちます」
インタビュアー 「では、私の理解が正しければ、より快適に生きるのに役に立つということですね」
ムナーリ 「たいていの場合そうです」
インタビュアー 「では、本というオブジェに親しんだり、本を文化に触れるための道具あるいは私的な遊具と捉えたり、人生の助けになる知識を吸収したりするのは、3歳児から始めてもいいですね」


(カタログより)

子どもの知的関心を育むことに対するムナーリの温かいまなざしに、共感です。



ブルーノ・ムナーリ しごとに関係ある人 出入りおことわり」展
会場:Shiodmeitaliaクリエイティブ・センター ラ・トリエンナーレ・ディ・ミラノ・東京 常設展示場
会期:2007年10月25日〜2008年1月27日
主催:ラ・トリエンナーレ・ディ・ミラノ、Shiodomeitaliaクリエイティブ・センター、イタリア文化会館
協力:イタリア大使館
後援:CLAC-カントゥのインテリアデザイン美術館、ICE(イタリア貿易振興会)、ICCJ(在日イタリア商工会議所)、アリタリア航空

関連エントリ 「ブルーノ・ムナーリ展」(2008年1月13日)