「アイ・ウェイウェイ展:何に因って?」

先週末の土曜日に、以前から楽しみにしていた森美術館アイ・ウェイウェイ展に行ってきました。
現代中国の美術家アイ・ウェイウェイさんについてはこちらWikipedia)に詳しいです。


幼年期に文化大革命を経験して、また若い時期にNYCへ渡って創作活動をしていた氏は、
展示の冒頭のパネルでも説明されていたように、欧米のモダンアートの枠組みを利用しながら、
ただそれをなぞるのではなく、中国人である自分の文化的背景や、母国を表現しています。


どれも知性的でスマートな作品だなあという印象で、「脱構築」的なものが多かったです。
いくつか気に入ったものを記します。


近代化によって次々と取り壊されていく寺院の柱を数本、一つの丸太のようにまとめたもの。
空洞が中国の国土の形になっていて、この国家があらゆるものの集合体であることと、
その一方で、国家というものが空疎であることを表現した作品。(タイトルを忘れてしまいました)



作家:アイウェイウェイ / この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示‐非営利‐改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。


《月の箪笥》はタンスのような木材を組んで大きな箱状にしたものの側面に円い穴を穿って、
そのズレによって月の満ち欠けを表現したもの。おしゃれです。



作家:アイウェイウェイ / この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示‐非営利‐改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。


明・清代の机を解体し、伝統的な手法により組み直した3点で支える机。脱構築



作家:アイウェイウェイ / この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示‐非営利‐改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。


そしてかつては中国を席巻した(そしていまは自動車に取って代わられた)自転車を組み合わせて
円状にした作品《Forever》。



作家:アイウェイウェイ / この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示‐非営利‐改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。


これらのいずれの造形作品もいいけど、自分としてはビデオ作品「長安大通り」が気に入りました。
全部で10時間を超える作品なのですべてを見ることはもちろんできないけれど、
このビデオ作品を眺めるためだけにもう一度行ってもいいかもな、と思うくらい飽きないものでした。
といっても、なんら特別なことがその中で起きているわけではないのですが。


なんだか中国に行きたくなってきたな。


尚、本展はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを使用して、館内での写真撮影が可能(参考)。
そういうわけで、デジ一を持ち込んでしっかり撮っている方も多くいました。



アイ・ウェイウェイ展:何に因って?」
主催:森美術館
助成:財団法人大林都市研究振興財団
協力: ニコラ・フィアットボンベイ・サファイア
会期:2009年7月25日(土)〜11月8日(日)
会場:森美術館(港区・六本木)
Webサイト:公式サイト
AI WEIWEI―ACCORDING TO WHAT?

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