クリスマス消費。

休日だった昨日、消費者観察を兼ねて、というよりは専ら自らが消費者として、
新宿の高島屋へ行ったのですが、2Fで目にした宝飾品を買い求める若い人々の多さに
「百年に一度の不景気」というのは本当なのだろうかと思わざるを得ませんでした。


今年のクリスマス消費がどうであったか、などは事後的にしか判断できないわけですが
決して「厳冬」ではないのかも知れないと感じたのですが、一方で、
消費者の生活防衛意識が高まり「巣ごもり消費」や「つもり消費」といったキーワードで
昨今の消費スタイルは語られることが多いわけで、クリスマス消費はどうなっているのか、
気になったのと、違和感を覚えたのとでちょっと記事を調べてみました。


厳しい経済情勢の中、クリスマスにも不景気風が吹きそうだ。日本経済新聞の調査によれば、今年のクリスマスに子供にプレゼントを贈る予定の人は約6割を占めるが、予算額は「増える」という人が昨年より減少した一方で、「減らす」「未定」が増えた。レストランなどでのクリスマスディナーを予定している人も大幅に減り、節約ムードが漂っている。
調査はマクロミルに依頼して11月下旬にインターネットで実施。全国の20〜60代の男女1,030人から回答を得た。
今年のクリスマスに家族や恋人、友人など親しい相手にプレゼントをする予定の人は全体の48.3%で、昨年調査の43.1%より若干増えた。「未定」は27.8%で、昨年の29.9%とあまり変わらない。このうち、中学生以下の子供がいる人で、子供にプレゼントをするのは59.4%となった。
ただ、子供へのプレゼントの予算は緊縮気味で、「増やす」は昨年の20.5%から今年は10.8%と大幅に減った。「減らす」も昨年の2.3%から5.9%に増えた。「ほぼ変わらない」は75.5%から73.0%と微減だが、「決めていないのでわからない」が昨年のゼロから7.6%になった。
算額も下にずれ込んでいる。昨年は「5,000円以上10,000円未満」が36.8%で最多だったが、今年は「2,000円以上5,000円未満」が38.4%で一番多くなった。「一万円以上」という人は昨年の14.1%から今年は12.4%とわずかながら減っている。
(略)
また、子供のためにクリスマスディナーをするという人のうち、レストランなどに外出する予定の人は昨年の30.5%から15.1%に減り、残りの84.9%が自宅ですると答えた。アットホームなクリスマスになりそうだ。


「クリスマスプレゼント(1000人の家計簿)」, 日経MJ, 2008年12月10日.


「プレゼント行為」は伸びているものの、額は減少傾向です。


その他の記事も見てみると。


女性がクリスマスに予定するプレゼントの予算の平均額が昨年より約1割減の24,071円に落ち込んだことが、東京・銀座の百貨店、プランタン銀座が4日発表したアンケート調査で明らかになった。景気の悪化が、女性の財布も直撃したもようだ。調査は、10月下旬、メールマガジンの女性会員748人(平均35.5歳)を対象に行った。
恋人またはパートナーにプレゼントを贈る人は前年比5ポイント増の89%だったが、平均予算額は前年より2,458円少ない24,071円。一方、恋人らに期待するプレゼントの平均価格は前年比4,414円増の50,827円。「クリスマスぐらい奮発してほしい」(同社)という複雑な女心を表した。自分へのご褒美を購入する予定がある人も昨年の54%から今年は46%になった。期待するプレゼントは、指輪と並んで食事が初めて首位になり、物から「コト(サービス)」へのシフトを象徴した。


Fuji Sankei Business i, 2008年11月5日.


20代と30代の男性が恋人へのクリスマスプレゼントにかける予算は5,000円超10,000万円以下が24%と最も多い――。ポイント交換サービスのポイントオン(東京・世田谷)と携帯電話関連事業のインデックス(同)が20〜30代の未婚男性500人を対象に調査したところ、こんな結果が出た。恋人がいる人の約8割が、予算は20,000万円以下と回答した。
クリスマスを一緒に過ごす予定の相手は「特に決めていない」(41%)が最も多いが、特定の相手の中ではやはり「恋人」(20%)が最多。回答者のうち、恋人がいるのは29%にとどまり、現在恋人がいない人のうちクリスマスまでに恋人が欲しいと答えたのは48%だった。


日本経済新聞, 2008年12月1日.


彼から欲しいクリスマスプレゼントの金額は30,000万円未満が51%――。調査会社のインフィニティ(東京・港)と市場調査社名古屋(名古屋市)は20〜35歳の独身女性を対象に、今年のクリスマスプレゼントに関する意識調査を実施した。
彼から欲しいプレゼントで30,000円以上と回答したのは12%どまりだった。景気後退などでプレゼントに対する金額面での期待は薄らいでいるようだ。
興味深いのは地域差がついたこと。30,000円以上を求めるのは関西圏が15.9%に対し、首都圏は11%、名古屋圏はゼロだった。
クリスマスの予定では「何もしない・予定なし」が49.5%でトップ。次いで「ホームパーティー」が15%。年齢層別にみるとホームパーティーは20代後半が19.4%に対し、30代前半は9.1%。逆にレストランは20代後半が6%で、30代前半は12.1%に高まる。20代の方が「おうち」志向が強い
調査は9月26〜29日にインターネット上で実施し、200人から回答を得た。


日経MJ, 2008年12月5日.

しっかり「イベントごと」として消費活動は行いながらも、額は減少させて、
トータルコストは抑える、といった「一点豪華」的消費傾向があるのかも知れません。
「物から『コト(サービス)』へのシフト」も注目ですね。


この冬はボーナスが減少した企業も多く、インカムが増えていないなかでも
消費活動が活発になるシーズンがあるのはとても喜ばしいことであるという反面、
消費スタイルがアメリカナイズ(Buy now, pay later)されて、
サブプライム層が拡大しているとしたらそれは危険だなという気もします。


消費スタイルとして健全なのであれば、「恋は景気対策になる」と言えるのですが。

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ちなみに、矢野経済研究所の調査によれば宝石・貴金属類の市場規模は年々縮小、
2007年も

  • 経済環境の悪化
  • クレジットカードローンの与信供与の自主規制
  • 最大の需要期であるクリスマス商戦が振るわなかった

などの理由で数字を落としています。



また、本日の日経MJにもまとまっているように、
日本での売上を減らした大手海外ブランドが円高を「口実」に値下げに動いています。


さて、「クリスマス消費」はどうだったのでしょうか。