ふたつのデザイン展

日曜の午後、六本木界隈で開かれているふたつのデザイン展に足を運びました。
ふたつとも無料ですが、来週末まで。

「POST切手」展 @東京ミッドタウン

こちらは先日のエントリに書いたもの。
200名ものグラフィックデザイナーたちがデザインした「デザイナーズ切手」展。

いずれもおもしろかったのは、各デザイナーが切手で何を表現したいのか、
それが明らかに表れていた点です。


切手をもって封筒の中の手紙の内容を先取りして伝えてしまおうというもの、
絵画性の強い日本の切手のなか、それに反してシンプルなものを、というもの、
あるいは逆に、封筒に貼ったときに切手が目立ち、
その切手を使うために封筒をわざわざ選んでもらえるように、というもの、などなど、
200人もいると少しずつ傾向が似たものもあったりしますが、面白い展示でした。


電子メールがこれだけ普及した現代では、
手紙を投函するということはますます少なくなっていますが、
それゆえ手紙の「フォーマル」な感じ、あるいは「真心」は際立つというもの。
さまざまな切手のなかから、その時々に応じて選ぶという「気遣い」が、
「デザイナーズ切手」の登場で出来るようになると素敵ですね。


東京ミッドタウン・デザインハブ第7回企画展「POST切手」展
 〜郵便が変わり始めた。切手のデザインはどう変わる。

会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
会期:2007年12月14日〜2008年2月3日
主催:東京ミッドタウン・デザインハブ
企画・運営:社団法人日本グラフィックデザイナー協会/JAGDA
Webサイト:http://www.designhub.jp/exhibition.html

関連エントリ 「切手、切手、切手…」(2008年1月10日)

「Skin: フィリップスデザイン[プローブ]プロジェクト」展 @アクシスギャラリー

「POST切手」展の入り口にフライヤーが置いてあって、興味を持ったところ、
会期はわずか1週間。
せっかく六本木に来ているのだから、と飯倉片町方面に歩いてアクシスへ。

展示概要については、アクシスギャラリーのサイトからキリハリします。


プローブプロジェクトとは、10数年後のライフスタイルを、デザインの視点から広く考察するものです。フィリップスデザインのリサーチャーによる2020年以降のライフスタイル予測をベースに、社会状況や経済における変化を仮定し、新たな領域での知的財産の創造を目的としています。5つの分野―政治、経済、環境、技術、文化―におけるイノベーションを探求する、独創的で先見的な提案です。
本展ではプロジェクトのうち、主に「エレクトロニック タトゥー」と「サスティナブル・ハビタ」という2つのプログラムを、映像を中心にご紹介します。
さらにまとめてしまうと、フィリップスデザイン社が予測する未来のデザイン、
といったところ。
今回の展示のタイトルが「Skin」とあるように、肌、皮膚がテーマ。


ギャラリーに入ってすぐの「サスティナブル・ハビタ」は、
有機的な皮膚をモデルとした建築用外壁のデザイン。
人口の増加や経済成長と、地球環境の保全とを両立させるためのデザインです。
日光や降雨を取り入れ、蓄積し、活用するように作られています。


この「サスティナブル・ハビタ」の説明ビデオの中で言われていたのですが、
リサイクルではなく、廃棄物に付加価値を加えたアップサイクル」をしないと
いけない段階にいまあるという言葉には腹落ちしました。


調べてみたら、説明ビデオがきちんとYouTubeにありました(English Only)。
"Off the Grid: Sustainable Habitat"


さて、もうひとつは「エレクトロニック・タトゥー」。
人体の皮膚にインプラントを施し、皮膚をディスプレイ化するという企て。
こちらは映像を見た方が早いでしょう。ノンバーバルでわかります。
"Electoronic Tattoo"


説明パネルにはこうありました。

わたしたちは、人々はいずれ体内にテクノロジーを実装することと信じています。この「エレクトロニック・タトゥー」では、感情センサーの概念や、電子的でインタラクティブな皮膚テクノロジーのプラットフォームとしての身体を探ろうとしているわけです。


(パネルの対訳はカタカナだらけでわかりにくかったので拙訳)

もちろん、インプラントするということには拒否反応も大きいと思いますが、
感情も皮膚感覚も、体内の神経やニューロンを微弱な電流という形で、
刺激が伝わることで生まれるものなのですから、
実はそれを増幅するだけのことなのかもしれない、と見ながら思っていました。


テクノロジーインプラントするというちょっと「近未来的」な考え方は、
昨夏に読んだ『ポスト・ヒューマン誕生』を思い起こしました。
この本では体内に(血液中に)ナノロボットを入れることで、
人間の処理能力が高まる、といった予測をしていました。


非常に小さい展示ですが、興味深い展示でした。興味のある方は是非。


Skin: フィリップスデザイン[プローブ]プロジェクト展
 〜いずれやって来る遠い未来、メインストリームになるトレンドとは何か?

会場:アクシスギャラリー(六本木)
会期:2008年1月26日〜2008年2月3日
主催:フィリップスデザイン
協力:アクシスギャラリー
後援:オランダ王国大使館
Webサイト:http://www.axisinc.co.jp/news/2008/20080107.html

ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき

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