『平成経済20年史』

先日買った紺谷典子『平成経済20年史』(幻冬舎新書)を先ほど読み終えました。
平易な文章ですが、意外と分量はたっぷりありました。


これまでの20年間を振り返って、声高に叫ばれた「改革」や「再編」、「規制緩和」、
「民営化」、「小さな政府」こそ、日本経済の成長性を奪ったと書かれています。


冷静さを欠いた文章だという印象を受けましたが、
上記の内容は確かに説得力もあります。一読することをおすすめ。


適切な政策を選択していれば成長していたはずの日本経済を停滞させたのは、
筆者によれば、

  • 米国の言いなりになってきた日本政府
  • 「財政健全化」の名のもと支出を減らしたがった財務省(大蔵省)
  • 適切な経済政策をとれず、常にタイミングを失した日本銀行

であるとされますが、しかしそれに対してしっかりと批判できなかったメディアや、
結局「改革=善」と早合点してしまった国民にも責任がないとは言えません。


21世紀初頭のファシズムは、「グローバルスタンダード」という旗の下、
従来の日本の制度・構造をずたずたにしてしまっていて、
それを私たちは引き受けて行かなくてはなりません。
「騙されていた」かどうかは別として、結局そういう政権を選んできてしまったのだから。


市民としてきちんとメディアリテラシーを持つことが重要、ということは
誰にでもいえますが、それだって多くを期待しすぎている向きがある。
すべての人がハイ・エデュケイテッドなわけではないのですから。


だから、私たちは2つの形で身を守る必要があります。
まずは個人的レベルで。そしてそのうえで社会的レベルで。


もちろん後者が優先されるのが理想ですが、それもまた望みすぎのように思えます。

平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)

平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)