個人に向けてカスタマイズされる店内広告

8月21日付WSJの記事より。
以下、部分的に意訳しますが、おもしろい記事なので読むのをおすすめします(リンク)。


広告が目の前の買い物客に合わせて変わる
広告のターゲティングは身近な店舗の中にも入り込むことになりそうだ。
特定の顧客に対して広告を見せるための最新の試みとして、企業のマーケッターは消費者が棚から取った商品や購入した商品情報に基づいた、個人向けインストアプロモーションを始めている。近い将来には買い物客が(その実際の行動ではなく)どういう行動を取りそうかという予測に基づいたプロモーションも可能となるだろう。

(略)

視聴者のフラグメント化とTV-CMの力の衰えから、マーケッターは消費者の購買に近い時間・場所での広告に目を向けている。そこで注目されるのが「店舗内」ということだ。

挙げられている例はダンキンドーナツとP&G社の例。


ダンキンドーナツニューヨーク州バッファローで行った実験的なプロモーションは、
モーニングコーヒーを買う客に対して、
レジのモニターでハッシュドポテトやサンドウィッチをレコメンドしたり、
下膳するピックアップカウンターでアフタヌーンブレイクに来るよう広告するというもの。


P&G社がドイツで行ったテストではRFIDが活用されていて、
棚から手に取った商品に合わせて、
棚に目の高さで据え付けられたモニターがメッセージを変えるというもの。
例えば、ある髪質用のシャンプーを手に取った人には、
それに適したコンディショナーなどをレコメンドするということが可能。


前者は、いままで「ポテトはいかがですか?」「セットはいかがですか?」などと
店員が声をかけていたものを自動化したというだけのもので、
この広告の目的として、来店客が店内で落とすお金の最大化に固執するのでなければ、
むしろそこで食事をする人がこれから何をするかを予測したうえでの広告媒体化の方が
いいように思います。例えばこういうのがヒント。


また、ダンキンドーナツのテストプロモーションの裏側を支えるYCDマルチメディア社は、
性・年齢を特定するための顔認識技術を開発中とのこと。
顔認識技術については、NECも開発していますね(関連記事)。


こうした店頭でのターゲティング技術への懐疑論も記事では取り上げていますが、
その意見はメディアの特性をひとつに縛ってしまっている感が否めません。


それよりも問題となるのは、やはりターゲティングから消費者がいかに自由であれるか、
オプトアウトできるのか、をどれだけ担保できるかという点だと思います。
(その辺りは一応、東浩紀の「情報自由論」を参考図書としておすすめします)


via The Wall Street Journal thru Ad Innovator
関連エントリ:「ターゲティング広告のプライバシー問題」(2008年8月10日)

情報環境論集―東浩紀コレクションS (講談社BOX)

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