「量が多いから売れるだろうという幻想」

最新号の『宣伝会議』の巻頭特集は「無気力消費者に効く広告」。
話題になった『下流社会』の著者・三浦展氏の発言に納得。


戦後の団塊世代以来、量が多いから売れるだろうという幻想がいまだにある。人口が多いからと団塊ジュニアを狙うのではなく、そこに質的に新しいマーケットがあるかどうかを見るべき。

(略)

それなのに、いまだに量のスタンスで55年体制マーケティングを実践するから失敗する。いま必要とされているのは、日産の『キューブ』のような、ユーザーの価値観を捉えた『質のマーケティング』です。


三浦展, 『宣伝会議』no.744(2008/7/1), p.27.


そして、この「ポスト『量のマーケティング』時代」の現代にあって、
企業が消費者に促すべき消費行動について、彼はこう続けます。


企業が発すべきは、『消費せよ!』という無責任なメッセージではありません。こうすれば確実に生活をしていくことができる、といった安定性を示す方が彼らには響くはず。企業としては、いま消費してくれた方がよいかもしれませんが、極端な話、それで10年後に全員破綻すれば状況はさらに悪い。それよりは、5年後、10年後に大きく消費してもらえるような状況を作る方が、社会全体の底上げにつながり、企業にも日本経済にとってもいいはずです。


同.

宣伝会議 2008年 7/1号 [雑誌]

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