ケータイメールの規則

先程のエントリーで触れた研究グループの先行研究もまた興味深かったため
ヌキガキしておきます。


  ■藤ヶ谷綾香・西田公昭・古谷嘉一郎・浦光博
  「携帯メールのコミュニケーション規則に関する研究」(2005年)
  (日本社会心理学会第46回大会発表、発表資料(PDF文書)

この研究では、「携帯メールのコミュニケーション規則の構造」が探られていますが、
そこで、この「構造」に5つの因子が見出されます。


第1因子「内容解釈・表現の正確性」
 相手と自分との関係性に基づき、メール内容を正確に理解・解釈するよう努めること
第2因子「情緒志向的表現性」
 相手の情緒に訴え、自分をアピールし、いかに相手をひきつけるかを意識すること
第3因子「受信者への配慮性」
 相手に快くメールを読んでもらうことを意識すること
第4因子「内容表現の明確性」
 自分の意見を的確・端的に伝えようと努めること
第5因子「メール交換の継続・発展性」
 相手をメール交換に参加させ、コミュニケーションを展開・発展させようと努めること

そして、メールをする相手との親密度の程度によって重要視される因子は変化する、
と論じられます。


親密性発展群では、自分の魅力を相手にアピールするために「情緒志向的表現性」が、相手とこれから親しくなり関係を発展させるために「メール交換の継続・発展性」が重要視されたと考えられる。また、相手のパーソナリティや携帯メールでの好みや癖といった情報を把握していないために「受信者への配慮性」が重要視されたと考えられる。
反対に親密性既得群では「内容表現の明確性」が重要視された。高井(2003)によれば、対面でコミュニケーションを行う場合、「気のおけない関係」では遠慮が不要であり直接的なコミュニケーション方略が好まれる。一方で「仲間」や「なじみの他人」のような関係に関しては、互いの知識や情報のやりとりをしなければならず、関係維持のために遠慮し間接的なコミュニケーション方略が好まれるという。ゆえに、相手との親密性が高い親密性既得群では「内容表現の明確性」といった直接的なコミュニケーション規則が重要視されたのだと考えられる。


※引用者註: 親密性既得群…最も親しい友人、親密性発展群…これから親しくなりたい人