不況下の強気戦略

最新号の『週刊ダイヤモンド』も特集は「デフレ再来」と、
国際金融の危機が招いた景気後退から、「グローバルデフレ」が懸念されています。


しかし、景気後退とはいえ決して消費活動がなくなるわけではありません。
弱くはなりながらも、娯楽消費もゼロになるわけではない。


このような状況下では国内旅行や、手近な娯楽施設、映画などは底堅いですね。
カラオケなどもそうでしょう。


これらの、いわゆる「安近短」なレジャーにとっては商機で、値下げの必要がない。
むしろこうした商機だからこそ強気の戦略をとる例が見られます。


USJ、再入場を禁止
大阪市のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンUSJ)は7日から来園客の再入場を禁止する。出入り自由な年間パスがない限りは場外で食事をして戻ることができなくなる。
園内にはレストランなどが約20店、ホットドッグなどを販売するカートが約30台あるが、「割高」との声もあり、来園者や周辺の飲食店に影響を与えそうだ。
USJは2001年の開園以来、入場券の半券と一時退出時のスタンプを提示すれば当日に限り再入場を認めてきた。USJ広報室は「園内のアトラクションやショッピングを長く楽しんでもらうため」と話している。


日本経済新聞, 2009年1月7日.


東京ドーム、遊園地、値上げ検討、新アトラクション導入機に
東京ドームは4月から、「東京ドームシティ」(東京・文京)のアトラクションの乗り放題券の値上げを検討する。屋内遊園地の改装に伴い新しいアトラクションが加わるため。同時にテレビCMや交通広告を増やし、集客力を高める。消費者の節約志向を背景に身近なレジャーの人気が高まっており、強気の料金設定で売り上げ拡大を狙う。
屋内遊園地「ジオポリス」が4月下旬に改装オープンするのにあわせて、一日乗り放題券の価格を見直す。現在は大人が3,000円、子供が2,500円で、ジオポリスの改装工事に伴い一部のアトラクションが利用できなくなったため、昨年1月に約1,000円値下げしていた。東京ドームでは元に戻すだけでなく、大人、子供それぞれで最大500円の実質値上げを実施したい考えだ。
大人が4,500円、子供が4,000円なら値上げ幅はそれぞれ5割、6割となる。乗り放題券は多くの顧客が利用するため、人数が変わらなければ大幅な増収となる。(略)
レジャー消費で安近短の志向が強まるなか、首都圏の来場者が多い東京ドームの需要は底堅い。09年1月期はジオポリスが利用できないためアトラクション部門の売上高が前期の28億円から22億円に落ちこむとみていたが、約2億円上ぶれしそうだという。



日経産業新聞, 2009年1月7日.

外部環境(経済要因)の追い風を受けた顧客数の増加見込みに加えて、
顧客単価をも上げようとしています。


関連エントリ:「近場消費。」(2008年12月15日)