「世間体」について

本を読む際、「あとがき」を真っ先に読むのが私の読み方なんですが、
これから読もうとしている本の「あとがき」、
とてもよくまとまっていた部分があったので「ヌキガキ」しておきます。


「世間体」とは、「世間」に準拠して体面・体裁をつくろい、恥ずかしくない行動をしようとする規範意識をいう。はやい話が、「ミウチ」のあいだでは「ミウチの恥にふた」をすることができ、「アカのタニン」の前では「旅の恥はかきすて」でもよいのであって、ともに「世間体」をとりつくろう必要はないわけである。私たちの日常規範にとって「世間体」が問題となるのは、やはりその中間帯の「セケン」においてなのである。


井上忠司『「世間体」の構造――社会心理史への試み』(講談社学術文庫版)
「学術文庫あとがき――補遺にかえて」より

「世間体」の構造  社会心理史への試み (講談社学術文庫)

「世間体」の構造 社会心理史への試み (講談社学術文庫)